AI相棒ノート
記録一覧へ
使い方ガイド10 分で読めます

Fable 5が監督、Opus 4.8が職人、Sonnet 5が若手。AIの適材適所を仕組み化した話

前回の記事で「作業員を安いモデルにするかは様子を見る」と書いた宿題に、同じ日のうちに答えが出ました。カギは『賢さ』で分けるのをやめて『間違えても気づけるか』で分けたこと。できあがった3段階の役割表と、非エンジニアが日本語だけで組んだ『自動でモデルが切り替わる仕組み』の種明かしを、正直な注意点つきで公開します。

先に結論:前回、作業を「監督」と「作業員」に分けました。今日はその作業員をさらに2階級に分けて、どの仕事にどのモデルを使うかを自動で決まるようにしました。分ける軸は「賢さ」ではなく「もし間違えても、あとのチェックで気づけるか。やり直しは安いか」です。気づける機械的な作業は安いモデル、公開する文章やお金に関わる作業は必ず上位のモデル。そして、この仕組みはプログラムを書かずに、AIの記憶にルール表を保存しただけで動いています。非エンジニアの私でも、日本語のお願いだけで組めました。

こんにちは、アイランドネームです。

前回、3対0で負けた高いAIを、それでも使う場所が見つかった話という記事を書きました。高いモデルを「監督」、安いモデルを「作業員」に分ける、という話です。

その記事の終わりに、私はひとつ宿題を残していました。作業員を、もう一段安いモデル(Sonnet 5)にするかどうか。品質と節約のバランスをもう少し様子を見てから決める、と書いたのです。

ところが、その宿題に、同じ日のうちに答えが出ました。今日はその続報です。作業員を2つの階級に分けて、どの仕事にどのモデルを使うかを、自分でいちいち考えなくても自動で決まるようにした話をします。

最初は「賢さ」で分けようとして、手が止まった

作業員を2階級に分ける。言葉にすると簡単ですが、いざやろうとすると、最初の一歩で手が止まりました。

私が最初に考えた分け方は「賢さ」でした。難しい仕事は賢い(高い)作業員に、簡単な仕事は安い作業員に。ごく自然な発想です。

でも、これがうまくいきませんでした。理由は単純で、仕事の「難しさ」や「賢さ」は、私にはうまく測れないからです。この作業は難しいのか、簡単なのか。線引きしようとすると、どれも「場合による」としか言えなくて、基準が決まらない。ここで完全に詰まりました。

うまくいったのは、軸を変えたこと

行き詰まって、ふと考え方を変えてみました。「賢さ」で分けるのをやめて、別の軸で分けてみたのです。

新しい軸は、これでした。

  • もし作業員が間違えたら、あとのチェックで気づけるか
  • もし間違えていたら、やり直しは安く済むか

この二つで「はい」と言える仕事なら、安いモデルに任せても大丈夫だ、と考えました。

なぜこれで大丈夫なのか。カギは、前回作った「監督が必ず最後にチェックする」体制にあります。私のところでは、作業員が何をやっても、必ず監督のチェックが挟まります。だから、たとえ安いモデルがどこかで間違えても、機械的に気づける種類の間違いなら、チェックの網で拾えるのです。拾えるなら、そこで直せばいい。結果として、仕上がりの品質は落ちません。

たとえば「300個のファイルに、この一文が入っているか確認して」という作業。もし数え間違いや見落としがあっても、あとで別のやり方で照合すれば、機械的にすぐ気づけます。こういう仕事は、安いモデルで十分だと判断しました。

逆に、公開する文章の本文はどうか。ここで安いモデルが「なんとなく薄い文章」を書いても、それは機械的な間違いではないので、チェックで拾いにくい。読んで「なんか違うな」と気づけても、直すには結局書き直しになる。やり直しが高くつくのです。だから、こういう仕事は上位のモデルに任せる。

「賢いかどうか」ではなく「間違えても取り返しがつくかどうか」。軸をこう変えたら、急に線が引けるようになりました。

できあがった3段階の役割表

そうして整理したのが、この3段階の役割表です。前回の「監督」の下に、作業員が2階級ぶら下がる形になりました。

  • 監督(Fable 5):計画づくり、最終チェック、どこを直すかの判断
  • 上級作業員(Opus 4.8):公開する文章の本文、お金や信頼に関わる作業、答えのない調査や分析
  • 一般作業員(Sonnet 5):機械的な一括チェック、手順書のある定型作業、素材集めや下調べ

会社にたとえるなら、監督が現場責任者、上級作業員がベテラン職人、一般作業員が若手、といったところでしょうか。難しい判断や大事な仕事はベテランに、手順が決まっている数の多い仕事は若手に。ごく普通の役割分担です。それをAIでやっているだけ、とも言えます。

節約のために、信頼は売らない(安全弁が2つ)

この分け方には、破ってはいけない安全弁を2つ用意しました。

一つめ。迷ったら、上位のモデルを使う。どちらの階級に振るか判断に迷う仕事は、必ず上のモデルに任せます。安く済ませたい気持ちより、失敗しない方を優先する、というルールです。

二つめ。公開する文章の本文と、お金に関わる作業は、例外なく上位のモデル。ここは節約の対象にしません。読者に読んでもらう文章と、お金の絡む判断だけは、いちばん信頼できる相棒に任せる。ここをケチったら本末転倒だからです。

節約はしたい。でも、節約のために読者からの信頼を売るようなことはしない。この線引きだけは、はっきり決めておきました。

基準は「育てる」もの。最初から完璧を目指さない

もう一つ、大事にした考え方があります。それは「最初から完璧な基準を作ろうとしない」ということです。

どの仕事をどの階級に振るか。これを机の上で完璧に決めきるのは無理だと、最初の失敗でわかっていました。だから、基準そのものを、使いながら育てていく方針にしました。ルールはこうです。

  • まず安いモデルに任せてみて、問題がなければ、その作業は「安いモデルで確定」にする
  • もし2回連続で直しが必要になったら、その作業は上位のモデルに戻す
  • 全体を、月に1回見直す

これは、新人スタッフの育て方とまったく同じだな、と思いながら決めました。いきなり全部の仕事を任せるのではなく、簡単な仕事から任せてみる。うまくできたら、その仕事は「もう任せて大丈夫」とする。何度もつまずくようなら、その仕事はまだ早い、と一段上の人に戻す。人を育てるときの、ごく当たり前のやり方です。

基準を固定せず、実績を見ながら少しずつ調整する。そう決めたら、気持ちがずいぶん楽になりました。最初の線引きが多少ずれていても、あとで直せばいいのですから。

種明かし:この「自動で切り替わる仕組み」、プログラムは書いていません

さて、ここまで読んで「自動でモデルが切り替わる仕組み」と聞くと、なにか難しいプログラムを組んだように思われるかもしれません。私も最初はそう身構えていました。

でも、実際にやったことは、拍子抜けするほど単純でした。

やったのは、今作った3段階の役割表を、AIの「記憶(メモリ)」に日本語で保存しただけです。それだけ。プログラムのコードは、一行も書いていません。

なぜこれで「自動」になるのか。私が使っているAIは、毎回の作業を始めるときに、まず自分の記憶を読み込む仕組みになっています。だから、私が「この仕事をやっておいて」と頼んだ瞬間に、AIは記憶にある役割表をさっと見て、「この仕事は一般作業員でいいな」「これは上級作業員に回そう」と、自分で判断してモデルを選んでくれるのです。

私は毎回モデルを指定する必要がありません。ただ日本語で仕事を頼むだけ。あとはAIが表を見て、勝手に適材適所で振り分けてくれる。これが、非エンジニアの私にも作れた「自動でモデルが切り替わる仕組み」の正体です。プログラミングではなく、日本語のルール表一枚で組めてしまいました。

で、いくら安くなるのか(前回の試算のおさらい)

お金の話も、軽く触れておきます。詳しい計算は前回の記事に書いたので、ここでは結論だけ。

前回試算した通り、一般作業員をSonnet 5にできれば、全部を高いモデル(Fable 5)でやる場合に比べて、半額以下になる見込みです。役割を分けるだけで、これだけ変わります。

しかも、Sonnet 5には今だけの追い風があります。このモデルは2026年8月末まで導入価格になっていて、通常よりさらに安く使えるのです。つまり、今は「一般作業員をお試しで回してみる」のに、いちばん都合のいい時期だということになります。安い時期に試して、ダメなら戻せばいい。基準を育てる方針とも、ちょうど噛み合いました。

一つ正直な断り書きを。これはAIの公式単価から計算した概算で、契約プランによっては「お金」ではなく「利用枠の消費量」の話になる場合もあります。ただ、比率の考え方はどちらでも同じです。

正直な注意点:この仕組みは、今日動き始めたばかりです

いい話が続いたので、正直な注意点も書いておきます。このサイトの信条なので。

いちばん大事な注意点は、これです。今日ここで紹介した仕組みは、まさに今日動き始めたばかりで、一般作業員(Sonnet 5)班の実績は、まだ一件もありません。ゼロです。

つまり、私はまだ「安いモデルでも本当に品質が落ちないか」を、自分の目で確かめてはいないのです。理屈の上では大丈夫なはず、と設計しただけ。実際に回してみたら、想定と違う結果が出るかもしれません。

だから、これは「うまくいった自慢話」ではなく、「こういう仕組みを組んで、今から試すところです」という記録として読んでください。もし一般作業員に任せてうまくいかない作業が出てきたら、それも隠さずに報告します。うまくいかなかった話こそ、たぶん誰かの役に立つので。

実は、この記事も「できたての役割表」どおりに作られています

最後に、ちょっとした種明かしを。前回に続いて、今回もあります。

実はこの記事自体が、今日作ったばかりの役割表どおりに作られています。本文を書いたのは、上級作業員のOpus 4.8です。公開する文章の本文だから、というルールに従って、いちばん信頼している相棒に書いてもらいました。そして、記事の構成を設計して、最後にチェックしたのは、監督のFable 5です。

つまり、できあがったばかりの役割表にとって最初の仕事が、この記事を作ることだったのです。表を作って、その表に従って表の説明記事を書く。ちょっとおかしな話ですが、仕組みがちゃんと動いている、なによりの証拠だと思っています。

なお、記事の頼み方そのものについては、AIに記事を書いてもらう私の頼み方に、実際のお願い文つきでまとめています。あわせてどうぞ。

まとめ

今日の持ち帰りを、もう一度だけ。

  • 前回の宿題(作業員を安いモデルにするか)に、同じ日のうちに答えを出した
  • 分ける軸を「賢さ」から「間違えても気づけるか、やり直しは安いか」に変えたら、うまく線が引けた
  • できあがったのは3段階(監督・上級作業員・一般作業員)の役割表
  • 安全弁は2つ。迷ったら上位、公開する本文とお金の作業は必ず上位。節約のために信頼は売らない
  • 基準は最初から完璧にせず、新人を育てるように、実績を見て調整していく
  • この「自動で切り替わる仕組み」は、プログラムではなく、AIの記憶にルール表を保存しただけで動いている
  • ただし一般作業員班の実績はまだゼロ。これから検証して、うまくいかなければ正直に報告する

今回いちばんの発見は、分け方に詰まったとき、軸そのものを変えたら道が開けた、ということでした。難しさで分けようとして手が止まったのに、「間違えても取り返しがつくか」で分けたら、すっと決まった。うまくいかないときは、頑張る方向を変えるより、測る物差しを変えてみる。これはAIの話に限らず、いろんな場面で使えそうな気がしています。

そして、非エンジニアの自分でも、日本語のルール表一枚で「仕組み」が作れたこと。これが今日いちばん嬉しかったことでした。コードが書けなくても、考え方を整理して言葉にできれば、AIに手伝ってもらって形にできる。そう実感できた一日でした。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また次の記録で。

次に読む